呪いと愛憎…生涯にわたる男と男のクソデカ感情が、読者の情緒を掻き乱す!

「いつかお前の人生をめちゃくちゃにしてやる」という強い意思だけが、その人の生を繋ぐ。
そんな巨大な感情を互いに抱き合う2人からしか得られない栄養素があります。

戦前、戦時中、そして戦後と、激しく移り変わる昭和の時代。
社会背景や家父長制の男女観、当時の空気感までもが伝わる精緻な筆致で描き出されるのは、男2人の深い因縁の物語です。
いろんなしがらみに囚われ縛られ続けた彼らの、血よりも濃くて死よりも苦しい魂の軛に、みんなで悶え転げよう!

冒頭から綴られる「おとなの男はつよい——」という一連のフレーズ。
そしてタイトルにもある「梨の実を割る」描写のイメージ。
作中で繰り返されるこれらの表現を、ぜひ意識に留めながら読んでいただきたい。
2人を繋ぐ呪いの正体は何なのか。
憎しみなのか愛なのか。生を蝕む劇薬でありながら、生きる意味にすらなり得る想いを、何と名状すればいいのか。

ラストシーンまで読み終えた後、しばらく放心してしまいました。
男同士のクソデカ感情に情緒を乱されたい方は、必ず読むべき物語です。

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