憎しみは愛の裏返し
- ★★★ Excellent!!!
狭義ではほんのわずかな間義兄弟だった男2人の戦前から平成まで繋がる因縁の愛憎劇――そんな一言で表現したら申し訳ない程の力作です。全32話の裏にはとんでもない量の下調べがあったであろう事が読むと分かります(近況ノートでも参考文献が挙げられています)。
2人がお互いに向けていた感情は、一言では言い表せられません。憎しみは愛の裏返しなんだと2人の関係を見て思いました。ただ、その「愛」は恋愛感情という訳ではなく、かと言って友愛と言うには激しすぎました。
時代もあったんでしょうけど、良太郎は最期まで男は男らしく強くあるべきという因習に囚われていたのが哀れでした。そうでなく、妻の馨に素直に愛を態度で表せてさえいれば彼のその後の人生も変わっただろうにと思いました。