この感情を、何と呼ぶことが正しいのだろう

時代の変遷というのは、価値観を変える。日本は昭和から平成、戦争や経済成長の中で激動とも呼べる時代を送った。
その中にあって自分を縛り付ける価値観から逃れきれなかった男と、その男にずっと捕らわれ見続けた男の物語、なのかもしれない。
始まりの感情を、何と呼ぼう。それは憎悪と呼ぶことが正しかったのかもしれない。けれど終わりの感情は、果たしてそう呼ぶことが正しいのだろうか。

時代は流れていく。
けれど誰もがそれに従い、変わっていけるわけではない。ただ変われないまま、流されていくしかないこともあるのかもしれない。

ずっとずっと心の中に影のように落ちるものを、何と呼ぼうか。
それは決して同じ質量で、同じ向きでないもので、それでも絡まりあっている。
答えは彼らの中にしかなく、正解はきっとないのでしょう。ただ一つ言えるのは、大きすぎる感情は人生を丸ごと飲み込むのかもしれない、ということだろうか。

ぜひご一読ください。

その他のおすすめレビュー

千崎 翔鶴さんの他のおすすめレビュー821