サイ様と紅ちゃん先生のぷち解説!
「やぁ、久遠寺サイだ」
「どうもネ! 紅ちゃん先生こと紅麗華ヨ」
「……それで? 一体これは何の茶番かな?」
「いやぁ! ただ解説回をやってもつまらない……もとい作者にふざけたい病が発症したみたいヨ。というわけでワタシ達が進行役としてぷち解説をすることになったネ! 早々に退場してしまったから出番貰えて有難いヨ!」
「だそうだ。悪いけど少しの間付き合ってくれるかな?」
「読み飛ばして貰っても全然大丈夫ネ!」
〖キャラクター紹介〗
・暮井隆臣
今作の主人公。
美大生で天才的な才能を持つが視覚障がいがある。
現在は日本画コースに在籍。(イラストレーターコースから転科)
現時点で既に描いた絵が好事家に売れるほどの腕がある。
常に濃い黒のサングラスをかけており、近寄りがたい雰囲気を持つ。
「あぁタカオミ、タカオミぃ」
「あ、サイ様がもうダメになったネ……仕方ないからワタシが進行していくヨ」
「2章は彼が生涯に渡って描き続ける連作、その最初の一枚目の誕生秘話になっているヨ。
ワタシも彼が入学したときからその才能と特異性に注目していたネ。
……本当は彼を引き込みたかったのだけどネ。アレ? でも彼に原初の混沌を描かせる目論見はほとんど成功?」
・木島良武
隆臣の同期でイラストレーターコース在籍
かなりのオタク気質なのだが大学からは垢抜けようと服装から入ることにした……が。
底抜けに明るく大抵の者から好かれる。
一方、相手を選ばず金の無心をする等、図々しい一面もある。
「木島は暮井君の……親友でいいのカ? 金を集ってるとこしか見たことないネ。……ワタシにも集ってくるヨ。でも、なんだかんだ嫌いになれない奴なのよネ」
・紅麗華
ある美大のイラストレーターコースで教鞭をとる
台湾出身のイラストレーター。
その正体は“這い寄る混沌”と呼ばれる邪神。
様々な姿、肩書きを取り悪巧みをしていた。
「はいはーい! ワタシのことネ! 詳しくは後述のクトゥルフ神話要素解説の“ニャルラトホテプ”でネ! え? 悪巧みの理由? やりたかっただけに決まってるヨ!」
・櫃田絵里
DIVALOID シリーズの産みの親の女性。
自身も元声楽家であり天才的な声楽家の娘がいたが奇病により失った。
あるCDを手に入れたことによりDIVALOID 開発の道に足を踏み入れた。
「今回の私の悪巧みの被害者……もとい気にかけてあげた女性ネ!彼女の娘さんは“生ける音色”に魅いられてしまったからワタシが声だけでも届けてあげたネ!」
・久遠寺サイ
破壊神、創造神の裏の存在。
特別な音により異界の神殿から姿を顕す。
隆臣にご執心。
「サイ様ー? サイ様ー?」
「え、あぁ私の番かい? あまり語ることもないんだが……今回のお話で少し私の正体がわかったんじゃないかと思うよ」
「まさかまさか……あんなことになるとはネ……詳しくは後述の“アザトース”、“ズシャコン”でネ!」
・透音ラブ
櫃田絵理により開発されたDIVALOID の傑作。
その声の元になったのは亡くなったはずの絵理の娘の歌声。
“生ける音色”の依り代にされた。
ライブでは観客を歌により支配し、“原初の混沌”の一部を呼び出す儀式を行ったが……。
“生ける音色”のモデルはクトゥルフ神話の“トルネンブラ”。
「本当に君はろくな企みをしないよねぇ」
「サイ様さえ邪魔しなければ上手くいったのヨ!」
・原初の混沌
あらゆるものがこの存在から生まれでたとされる。世界の最初の一にして混沌。
とらえどころのない泡のような姿をしており、常にぶくぶくと泡立ち深い眠りの中にいる。
世界はこの存在の見る夢であるという。
久遠寺サイいわく表裏の存在。
モデルはクトゥルフ神話の“アザトース”。
「一応は、ワタシの本体の上司のような存在……のハズ、ネ。でーもぶっちゃけ常に寝てるからちゃんとホウレンソウできてるかはわからないネ」
「あぁ、ちゃんと聞いてるよ?」
「えっ」
“クトゥルフ神話要素解説”
(ここからは筆者オンリーです)
“アザトース”
めちゃくちゃはしょって説明すると、
クトゥルフ神話世界における創造主……って理解でよいかと思います。
こんな隅っこコーナーで解説しきれる存在でもないのですー。
特に今作において関係のある設定についてピックアップしますと
・白痴の魔王と呼ばれ、知性が無い。
・世界の創造主的存在。
・普段は眠っていて、この存在が見る夢こそが世界である。
・目覚めると世界がパー!
・専属の楽団がフルートのようなオーボエのような太鼓のような音色で子守唄を奏でて眠らせている。
・ニャルラトホテプを使者として世界に対してなんらかのアプローチを行っているっぽい?
こんなところでしょうか?
また上記の“専属の楽団”がトルネンブラだとされています。
そも、クトゥルフ創始者ラヴクラフト氏とクトゥルフを広めた立役者ダーレス氏とでかなり設定が違ってくる存在でもあるのです。
なにか自作に登場させる場合、混乱しそうなりますね。
ヘンリー・カットナーの『ヒュドラ』にて言及された際は“奇妙な菫色”……との記述がありました。透音ラブのイメージカラーが菫色なのはここから。
白痴設定がニャルラトホテプに指示出してる設定とぶつかってよぐわがんにゃい!
なので私は基本ニャルは独断専行しまくってるやつとしています。
“ニャルラトホテプ”
アザトース以上に説明に困る存在……化身が多すぎるんだよ。
千の貌を持つと言われるほどにとにかく色んな姿を取ります。(ヒュドラも沢山の顔があるよ!被るね!)
また、めちゃくちゃはしょって説明すると、
クトゥルフ神話世界の“トリックスター”です。
なにか神話めいた事件あらば影にニャルあり……ってくらいには能動的に暗躍する存在と思えばよいかと思います。
今作でもあちこち顔を出しては人間に余計なことを吹き込んではその破滅の過程を楽しんでいました。
私的解釈としては、どこかに本体がいて、化身達は子機のような端末……としています。
いくつか化身をピックアップしますと、
・悪心影
織田信長の名で知られる鎧武者である。
……もうこの時点でニャルラトホテプのとんでもなさが出てますね。
そう!織田信長はニャルラトホテプだったんだよ!
きっと明智光秀は星の戦士ですね。
見てくださいよこのキラキラネーム。
今作では紅ちゃん先生がSNSのハンドルネームとして使っていました。
・赤の女王
赤を基調とした衣装に身を包んだ絶世の美女の姿をとり、人を誑かす。
紅ちゃん先生の外見は赤の女王をモチーフにしていますー。
いくつかある化身の内でも人型なので登場もさせやすいかと。
・膨れ女
主に大陸……東洋で伝承される。
紅ちゃん先生の台湾人設定はこのへんから。
扇で口元を隠した美女の姿だが、扇には幻惑の力があり口元から外されたとき本性が顕になる。
どんな本性かは……まぁ名前の通り。
ニャルラトホテプは最近だと『這い寄れニャル子さん』で一躍有名になりましたね!
“トルネンブラ”
前述の通り、アザトースの眠りを維持するのにひと役買っている存在。
その正体は姿の無い音だけの存在だとされています。
『エーリッヒツァンの音楽』という作品で名前こそ登場されていませんがその存在に言及があるようです。
優れた音楽家の元に現れ、その魂を連れ去りアザトースの楽団として迎えてしまうとされています。
透音ラブ……とおねらぶ……とおるねらぶ……トルネンブラぁ!
“ズシャコン様”
説明は前の解説でした通りなのですが、
私のオリジナル設定として、ズシャコンはアザトースの裏、表裏の存在としてみました。
というのも
アザトースは普段眠っていて、目覚めると世界が破滅する……のですが、ズシャコンは鐘の音により現れ破滅をもたらします。
鐘とは古今東西、“目覚め”の象徴でもあります。
ここに奇妙な対の関係性を見いだせないでしょうか?
つまりズシャコンとはアザトースの目覚めである……と、そういうオリジナルの解釈をしてみたわけですねー。
クトゥルフ神話はこうした独自解釈をしてもいいんですよ(多分)
ただのズシャコン贔屓ですけど、無根拠でもないそんな感じ!
以上、プチ解説でした!
えっ 本編の1話分より文字数が多いって?
ヒュドラヲケシカケマスヨ?
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久遠の鐘 雪月 @Yutuki4324
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