遺言で交換日記というところがいいですね。
思いが文字に。文字が交換日記に。交換日記が遺言に。兵士が綴るたった一つの……。
「日記」という物質において、心のやりとりがされていく。おそらく主人公は極限状態に置かれている。その状態を、どこか斜めに、まるで他人事のように、時にシニカルに、未だ知れぬ同胞に向けて物語が綴られていく。非常に静かで詩的な文体からは、心の状態も一見そのように見えるのだが、おそらくは、おそらくはぐちゃぐちゃなのではないだろうか。淡々とした語り口だからこそ、無音を味わわせるような描写だからこそ、狂ったかのような叫びが伝わってくる。いやもしかしたら、もう。物語に描かれている全てが、もう。
短編で読みやすく、言葉選びに小説の世界観を感じて入りがとても自然でした!遺言を残して行く兵士たちの心情が書かれてフィクションでありながらこの小説の世界に入りこめて一気に読めちゃいます。眠れない夜に読んで、目をつむりながら物語を思い出すのが好きです。 後味が悪くないし感動するので是非読んでみてください!!
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