その後、数日続くすったもんだ
一日目が終わっても、こなすべきことは山盛りです。
奨学金の担当部署へ行き、奨学生の義務事項の通達、入学手続きや入寮の報告、奨学金の現地振込口座の登録、各種保険申請状況の報告、奨学生の関連書類ファイルを入手。
そうした事務的なことを終えたらまずは真っ当な人間生活のため、翌日にはホームセンターへ赴き食器と調理器具、そしてベッドリネンを揃える(寮に近い地域は以前に短期宿泊経験があったため、ホームセンターがあるのを知っていたのが幸いでした)。
学生定期券、プリンター、携帯電話を購入し、大学準備を進める(もちろん学生証ケースも買いました)。
滞在許可証を申請(ダニエルありがとう!)。
しかし難は立て続けなヨーロッパ。
申請自体は問題なく申請受理された滞在許可……だったのですが。
申請が通りましたよ、と申し渡される部屋に入ると。
「はい、さくらさんは来年⚪︎月までの許可証ね」
「え、一年では無いのですか?」
「奨学金が⚪︎月までだから」(奨学金は延長申請可能なシステムで初年度は一年未満)
他の人たち普通に一年で出るよって言ってたのは……一年の許可証と手続き料金同じなんだけど高いんだけど……次の年も大学いなきゃいけないんだけど……申請までの期間短いんだけど……
「……分かりました」
ここでNein(=No)と言おうものなら更なる困難が待っているに違いないのである。
取り敢えず、一応は許可が出たのである。奨学金事務所に許可証申請が済んだ報告に行かねばなるまい。
「……というわけで一年は出なかったんです」
「そうなの? なんでかしら。
って公的機関! 私が聞きたい! 言ってよ移民局にそう言ってよおぉ! と、思い切り主張したかったのですができませんでした……。許可が出ただけいいと思え、と過去の経験者のブログ等々から思うしかなかった。
とにかく、こうして滞在しても良い許可は得たわけで、晴れてこの大学の正当な留学生になれたといっても良いのではないでしょうか。
***
さて、なんだかんだありましたが、許可証もあとは発行をびくびく待つだけとなりました。これがいつ来るか、というのが我々留学生や外国人滞在者の一番の懸念事項。追加書類を求められたりして、なかなかに許可が下りない話なども聞きますから。
この点、私はすんなり許可が出て、一ヶ月ほどで取りに来てね、の連絡。現地人随伴強い。ありがとうダニエル。国費の奨学生だったのもあったでしょう。
ところが。
「じゃ、この滞在カードの記載事項に間違いないかチェックして」
——Geburtsort(出生地) KANAGAWA(神奈川)——
「あの、私、東京生まれですけれど」
「パスポートと一緒?」
「えと、パスポートとは一緒です(日本のパスポートは本籍地)。でも出生地は東京で」
「ああ、パスポートと一緒なら大丈夫だから」
「え……」
いいのかな、いいのかな、とダニエルに聞いてみるも。
「TokyoもKANAGAWAも大した違いじゃ無いから」
えぇ、公的書類ですよ! 私あとで咎められたりしないでしょうね!?
ここでも公的機関が日本では想像もつかない方角から切り込んで。
申請も申請なら取得も普通に済まない滞在許可証……取得できたから、もう結果オーライ……?
(ただしこの点はうろ覚えなので、もしかしたらGeburtsort Tokyoが滞在許可証の記載で、申請書類などとの齟齬だったかもしれません)
🌸🌸🌸
このように驚愕と日本にいれば非常識かと思う斜め上を初日から連続でくらいながら現地滞在準備は進み、驚きを通り越して呆然とする出来事が立て続けの留学後初期期間。なんとか乗り切り、毎日ふらふら。一日を終えては夕飯を食べる前にベッドに突っ伏して寝てしまうという日々を過ごしました。
さらに日常生活も日本では考えられない事件(向こうでは日常茶飯事)が起きたり、嘘だと言ってくれが起きたりするのですが……
まあ生きて修了して帰ってこられましたので!
人にちゃんと感謝して、お礼をきちんと伝えて、誠意を持って、自分は規則に則り真っ当に生きていれば、なんとかなります!
がんばれ留学生!
お読みいただき、どうもありがとうございます。
佐倉奈津(蜜柑桜)のすったもんだ留学スタートエッセイはこれにてひとまず修了。
長編執筆へ戻りたいと思います。
了
留学ハプニングエッセイ2 夜中の激痛と病院急患についてはこちらです。
https://kakuyomu.jp/works/16818023211909737384
留学ハプニングエッセイ3 デバイス紛失、情報漏洩の難はこちらです。
https://kakuyomu.jp/works/16818023211961303220
留学ハプニングエッセイ1始動から斜め上〜成田から渡航、到着後、怒涛と驚愕の数日間 蜜柑桜 @Mican-Sakura
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