短くても、共に在った日々

「コンパニオン」という言葉の語源はラテン語だそうです。共にパンを食べるという直訳から、「行動を共にする者、仲間、友人」といった意味になるそうです。

主人公と、サンと名付けられた迷いインコ。タイトル通り、一羽と一人が共に過ごしていく日常が、作者様が得意とする無駄のない筆致で淡々と、それでいて色鮮やかに綴られていきます。殊、始めはやや警戒していた主人公が、少しずつサンに心を開いていく様は、読んでいてなんだか嬉しくなってしまいます。
加えて作者様は、現在もインコを飼われておられる無類のインコ好き。些細な描写が非常にリアルに感じられるのは、間違いなく日々の愛あってこそ。同じ境遇の方や、動物等が家族の一員にいらっしゃる方には、より一層楽しめる事請け合いです。

残念ながら、この物語の結末は悲劇的です。ですが、サンが共に過ごし、足跡を主人公の心に遺していった事で、ただ悲しいだけ、感動するだけの読後感では終わりません。
皆さんが拝読された後、何に思いを馳せるのか…思いきり他人事ですが、楽しみです。

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