花咲くも 香り閉じ込め 移し取り つぼみは永遠《とわ》に蕾であれや、と

蓮の花が人知れず咲く。
悲しみを伝えぬために 
その花弁を閉じておく。
香りだけを差し出して。

ゆらゆら揺れる小舟。
優しく通り過ぎる風。
幽かに残る甘い香りは
夢か現か お伽噺か。

つぼみが開くは
吉兆 どちらか。

泥に埋まるか、
水に揺蕩うか。

あなた自身で
確かめてみてください。
この香りの正体を。

ほんとうに
何処かに伝わっていそうな
そんな 不思議な 物語。

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