アドバイス

「――まあそんな状況ってことだ」

「そりゃ大変だわな。不思議言うか。樹。お前何したんだよ」

「全くわからん」

「でも樹の事だけが記憶されない――そんな事あるんかね。って、まあ実際起こってるのか」


 現在大学の昼休み。俺が三山木にここ最近のことを話したところである。

 ちなみに病院の先生と家族以外では、ばあちゃんのことを話したのは初めてなのだが。なんか話したら少し肩の荷が下りたというのか。俺自身はすっきりしていた。

 相談って大切なのかもしれない。そんなことを俺自身は今思ってた。

 三山木に関してもさすがにというべきか。少し難しそうな顔をして何か考えているような雰囲気――。


「まあ話聞く限り。樹が居なければいつも通りか。樹不要説!」

「――」


 事実まあそうなのだが――って、三山木は難しそうな顔をしてる割に何も考えていないのかもしれない。いつも通りだ。笑いながら励ます?ように俺の肩を叩く。まあこういう時でもいつも通りなのは助かるか。


「悪い悪い。って、ならよ。別人になってみたらどうだ?」

「――うん?別人?」

「そう。樹がそのおばあちゃんの前でだけ別人になるんだよ」

「いや、それは家の中でも新しい――」

「いやいや、家の中でじゃなくてなまず外でだ」

「外?」

「ああ。例えば――」


 何も考えていない――雰囲気だった三山木だが。この三山木のアドバイスがこの後磐城家を変えることになるとは――まあそれは想像とかできるわけないわ。俺もまさかな。って感じで聞いていたし。

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