運転手

 三山木のアドバイスから数日後。以外にも早くお試しの日はやって来た。


「おにぃ大丈夫なの?」


 心配そうに自室にて準備をしている俺を見るいろは。ちなみにいろはも外出の準備をしており。いつでも出れる状況となっている。


「まあ無理そうなら本物のタクシー呼んでくれ」

「わかってるけど。すぐにバレそう……単に外で他人として会うってだけで変わるかな?」


 三山木からのアドバイス。それは俺がタクシー運転手。送迎担当をしてみることだった。家の中で会うからおかしなことになるのではないか。なら別人として外でまず会ってみたら?的なことだった。

 そしてばあちゃんの受診日。いつもなら父親が車をだったのだが。今日だけはどうしても休めなかったらしく。タクシーで母親と行く予定だったが。母親も用事が重なってしまい。空いていたのは俺といろは。

 ちなみにじいちゃんも空いているが。じいちゃんは元気だがじいちゃんも年。足腰が弱っているため付き添いに行っても、邪魔になるだけと言っており。今日はデイサービスに行っている。

 なので本来ならいろはが1人で付き添いだったが。少し前に俺が三山木から聞いたアドバイスを話し――物は試しということでやってみることになったのだった。


 何やら三山木曰く。自分の体験談かららしいが詳しくは知らない。でも三山木はかなり協力的で今日も――。


「まあとりあえず15分後戻って来るわ」

「う、うんわかった。おばあちゃんと病院行く準備して待ってる」


 いろはに言うと俺はそっと自室から出て外へと脱出。

 いつもの駅の方へと向かって行くと――クリーム色で犬の顔?みたいな正面が特徴的な軽自動車が待機していた。

 あいつ意外とかわいい車乗っていた。


「おっ、来た来た」

「おはよ。土曜日に悪いな」

「いやいや、ってことで、噂のかわいい妹を紹介してくれる件OK?」

「――はあ?」


 こいつ何言ってるだ?確かに妹のかわいさは話した――話したか?まあいい。


「朝から『こいつ何言ってるんだ?切り刻むぞ』みたいなシスコン表情やめろって」

「――無駄に的確に読み取って来た――って、そんな話どこから湧いてきた」

「まあ冗談だ。これでいつも通りの流れでいけるだろ?」

「――車大破してOKと」

「いやいや、俺の愛車ー。これ愛車!かわいい愛車」

「はいはい。ありがたく使わせていただきます。で、帰りは大学のところでOK?」

「OKOK。運転わかるか?」

「これでもちょくちょく親の車乗ってるから慣れてる方だと思う」


 三山木の車の運転席へと乗り込む俺。車内は意外と広く。三山木の割にかなり綺麗に使っている。ゴミとか0だ。


「なんか今樹。俺にしては車綺麗にしてるとか思ってるだろ」


 ドアにもたれかかりながら三山木が話しかけてくる。


「お前人の考え読むの得意だよな」

「そりゃな。いつ女の子を乗せるかわからんからな」

「――いつも通りだな。じゃ、ちょっと借りる」

「ああ、まあ無理そうなら妹ちゃんに任せればいいんだよ。別の案考えてやる」


 三山木と別れると俺は自宅へと向かう。

 果たしてこんな方法で何か変わるのか。だったが。とりあえず向かう。すると家の前で待機しているいろはと――ばあちゃんの姿が見えた。

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