壊れかけの思い出
くすのきさくら
悲鳴
あの日は妹の誕生日だった。
毎年無駄に豪華になる妹の誕生日。もちろん今年も豪華だった。
俺の家は両親と妹4人プラス母親の方のじいちゃんばあちゃんと一緒に暮らしているため6人家族となる。
もしかすると大家族?となるのかもしれない。いや、さすがに6人では大家族とは言わないか。でも基本じいちゃんばあちゃんが家に昔からいるのが当たり前の生活で、俺も妹も両親が居なくても放課後や休日寂しい思いをすることはなかった。
家族間の仲も良く。その日もいつものように妹の誕生日を盛大にお祝いしていたのだった(ちょっと言いたい事といえば、みんな妹に甘く。俺の誕生日より豪華なのが気になるが。今日も桶に海鮮がたっぷりのちらし寿司が机の。まあ俺も妹に甘いから何とも言えないか)。
とにかく仲の良い俺の家族。その日も料理好きのばあちゃんが妹のために料理を作りまくり。じいちゃんと父親が何故かプレゼントで争ったり――と、いや、だから俺の時よりレベルがおかしくない?だったが――まあそれは良い。俺お兄ちゃん。妹大事にする。よし。大丈夫だ。
というか、俺も妹へのプレゼントは結構悩んで妹の欲しがりそうなもの買ってきたんだからその争いに参加させろ!
――この家の男共。いや、ばあちゃんも含むか。妹を甘やかしすぎている。
言い方が悪いかもしれないが妹馬鹿いうのか。とにかくかわいいかわいい妹大好きな家庭だ。
なおこの時この家庭の中で一番普通に妹に接している(多分これが普通)母親がいつも通り。みんなを見て呆れていたのだった。
そんなこんなで、いつもならこのまま妹の誕生日はにぎやかに終わっていくのだったが――。
『――っ!!おばあちゃん!!おばあちゃん!!おにぃ!!おばあちゃんが!!』
日付の変わる直前。妹の泣き叫ぶ声でその日を終えたのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます