Re:start
にわ冬莉
星が流れた
流れ星を見た。
ほんの一瞬のことで願いを掛けることは叶わなかったけれど、それでも流れて行く星のひと筋をこの目に焼き付けることが出来たのは奇跡だと思う。
「もうすぐだね」
吐く息は白く、空気は澄んでいる。
「うん、もうすぐだ」
そう返せば、また同じように言葉が白を
僕たちは遠くまで見渡せる小高い丘の上にいた。
地上に広がっているのは、一面の廃墟。
崩れたビル群、幾重にも積み重なった車。
昨日はまだ所々から見えていた煙も、今は消えてしまっているようだ。
崩れた瓦礫の下、ずっと下には、怯えた顔で固まって震える何十万、何百万の人類がいるのだろう。
一縷の希望を胸に地下に潜った人たちをとやかく言うつもりはないけれど、偉い学者がお手上げだと匙を投げた天変地異を、どうして乗り切れると思うのだろう?
それでも人は、希望を抱く。
滑稽だ。
それこそが人という生き物なのかもしれないけれど。
僕たちは滅び……そして、始まる。
Re:start にわ冬莉 @niwa-touri
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
同じコレクションの次の小説
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます