言葉は再び会う日までとっておくもの

小説を読む時、頭の中にあるリソースを引用して世界を彩るものである。だから小説の色は好みの色で取り揃えられ、安心して物語を想像できる。
でもこの短編小説は想像するのも手取り足取り、筆者の思惑に囚われたまま歩いていける。これが心地いい。
とある島の独自の文化は、無遠慮な外部の人間を簡単に受け入れたりはしない。謙虚な気持ちで、違う世界を覗かせてもらう。そんな人間は世界の色を見つけられると思う。
それを考えると、僕たちも大事なものを受け取っているんじゃないか。いつか、言葉で、返しにいこう。

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