実家の庭に柿の実ひとつ、心が育てた僕の実ひとつ

2023年の敬老の日、Googleマップで祖父母の家が『売物件』となっていた。
中学の同窓会に出席するため帰省した際、父に話すと、いとこが土地を相続せず手放したと聞く。昼食時、デザートに柿を出した母が「祖父母の家で採れた最後の柿だから食べなさい」と勧める。正月に祖父母の家に行くと、干し柿になっていたのを思い出しながら一切れ食べる。
2024年帰省した際、夕食のデザートに柿が出されたので母に聞くと、「これはうちの柿。今年は豊作だったから干し柿にしたの」この柿もいつか食べられなくなる日が来るのだろうと口に入れる。

懐かしい思い出の場所やものが、また一つ消えていく。
新年のめでたさに差し込む寂しさから、人生の影を感じさせられる。
光もあれば影もある。
陰りは、自分の根っこをしっかり整え、固める時期の印かもしれない。

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