ピント

 それは逃げ水のような『もの』だった。陰気な陽炎の中をさ迷うかのように、ふらふらと現れては消え人を惑わす。じっとりと、あるいはべっとりとした酢酸めいた臭気をもって読後感とする。

 詳細本作。