古典的でありながら新しい。

アンドロイド、歌……といった少し古典的な題材選びに保守的だと感じたのですが、思いのほか、遠くへ連れてこられてしまうというような魅力がこの作品にはあります。それは読んでいて心地の良いリズム感と端正な文体の成せる技でしょう。保守的だと初めに先入観を持って読んだならば、その先入観はひっくり返されると思います。それは新しい視線がこの作品の隅々に透徹しているからに他なりません。