ロボット執事のお話のようです。短編としては決して見通しに優れた作品だとは言えませんが、読み込むほどにじわりと伝わる良さがあります。あらすじを話すと逆に勿体ないと感じてしまう本作、読者の目で確かめてみてください。
世界で最後に残った研究者によって作られた『ムツキ』は感情のないロボット。主人公のアカツキに従順として接していると、『ムツキ』はアカツキが病に冒されていることを知る。ただの風邪だからと、心配をかけないようにと、長い時間をかけて、それはアカツキの身体を蝕んでいた伏せられた事実だった。そこから次第に『ムツキ』に変化が起きる。感情はロボットには要らない。そんな思いから心の成長を果たした眼差しから、星空へ願いをかけるシーンは感動的。アカツキを思う心はいつまでも満天の星のように、どこまでも美しく輝くように心を打つ物語。
あるロボットと、その主人である人間のお話。なんでもそつなくこなす高性能ロボットだが、ただ一つ理解できないものがあった。「感情」終末世界の中で、主人はロボットに伝えようとする。それがどんなものであるかを。切なくも感動的なストーリーが短編で味わえます。ぜひ読んでみてください。
もっと見る