第50話 真夜中のガールズトーク
「朱里紗っ、一緒にお風呂入ろうよー♪」
「えっ、それはちょっと……恥ずかしい、です」
未来姉っ、流石にそれは距離詰めるの早過ぎじゃね?
俺は朱里紗を家まで送るついでにジョギングをするつもりだったんだけど、何故か泊まる事になったので今から走りに出かける。
練習が終わりシンちゃんは帰って行ったので、もはや未来姉を止める人は誰も居なくなった。
「いーじゃん、ちょっとだけっ♡」
「ちょっとってなんですかっ、もーっ!」
……おっさんか? バスルームの前で二人が取っ組み合いをしてるのを横目で見て俺は玄関を出る。
「ちょっと悠真くー…………
なんか聞こえたけど俺には未来姉は止められないよ! ごめんね、朱里紗。
※
「だってさー、一緒に入った方が時間短縮出来るしー、洗いっことか出来るじゃーん♪」
「それは……そうですけど。私達まだ知り合ったばかりなのに恥ずかしく無いんですか?」
「ぜーんぜんっ! 『裸の付き合い』すれば距離がもっと縮まるよー♪ さっ、脱いで脱いでっ!」
未来姉の中のおっさんが目を覚ましたのか、えへへとだらしない顔で朱里紗のTシャツに手をかけた。
「ちょっともーっ! 自分で脱げますっ!」
『いーではないかっ♡』と触りまくる未来姉をパシパシ叩いて浴室に逃げ込む朱里紗。つるんと下着を外して追いかける様に未来姉は浴室の扉を開けた。
「うーん、やっぱりスタイルいいねぇ♡」
「もぉーっ、言い方っ! そう言うみっくだって綺麗な体してるじゃないっ!」
結局未来姉のゴリ押しで二人で湯船に浸かる。……あっ、俺は天の声なだけで覗いてる訳じゃないからねっ!
※
「……それにしても三人ともあんなに上手いなんて思わなかったわ! この間ね、お姉ちゃんの高校の時の演奏見たけど、それより全然上手かったもん!」
「えへへ、多分三人共『アイツには負けたくないっ!』ってだけで練習をずっとしてきたからじゃないかなー?」
汗ばんで、頬がほんのり赤くなった未来姉が照れ臭そうに笑った。
「なんかいーなー、そういうの♪」
「でも、やっとスタート地点だからね! これからは三人でまずは曲を増やしてお店をいっぱいにして、『ロット』や『MDC』に追いつかないと!」
そう言って湯船に顔まで浸かり込んだ。
朱里紗はそんな未来姉に後ろからむぎゅっと抱きついて、
「それじゃ私はファン一号だからみんなに宣伝しないとだねっ♪」
「朱里紗ぁ、おっぱい当たってるよー♡」
嬉しそうだな、未来姉。あー羨ましい
※
その後、俺が帰って来た頃には二人、髪を乾かし合い未来姉の部屋でキャッキャしていた。
俺はシャワーを浴びてリビングで麦茶を飲みソファーに横たわる。これからシンちゃんが作った曲の歌詞を考えよう! ヘッドホンで曲を聞きながらイメージを膨らませる。
……ウチに寝てしまった⤵︎
※
一方、未来姉の部屋では……、
「『レッグラ』のロゴ考えたんだけどさー、こんなのどうかなー?」
ソファーに並んで腰掛けて、タブレットを朱里紗に見せながら『他にもコレとかコレなんかもあるんだけど……』なんて忙しく指を動かしている。 未来姉、昔っから絵を描いたり工作とか得意だったからなぁ。
未来姉は普段、夜にお菓子とか絶対に食べないんだけど、友達が来た時だけはお菓子を買い込んでわちゃわちゃやってる。早速大好きなチョコを一つ口に頬張りながら、
「ところでさー、なんで悠真は急に『名前呼び』になったのかなー?」
ニヤニヤしながら朱里紗に肩をぶつけて来た。
「べっ、……別に何も無いですっ! 私だけ名字で呼ばれてるのって変じゃないですかっ!」
ムキになって肩をぶつけ返した。
あー、朱里紗キョドってる、下手くそかよ?
「マリアさんってさー、悠真の事どう思ってるのかなぁー? もしアレだったら姉妹でライバルじゃない?」
「アレって何ですかっ? ……お姉ちゃんは高校の時から付き合ってる人が居て、今は遠距離なんですけど、私が高校卒業して今の家を出たら結婚すると思いますよ」
それを聞いて未来姉、『マジかー?』って言って頭を掻きながら、
「それって悠真知ってるのかなぁ? 朱里紗には悪いけど、アイツ、マリアさんの事慕ってたからなぁ……」
「実は……この間色々あって、悠真くんその事知ってしまって……」
それっきり朱里紗は黙ってしまい、気まずい空気になってしまった。それを察して未来姉は、
「そっかー、それじゃあしょうがないよねー。それなら朱里紗、遠慮なく悠真に行けるじゃない?」
未来姉がそう言うと、朱里紗は口を尖らせて、
「それが悠真くん、『これからはドラム一筋でマリアさんを超えてやるっ! 朱里紗も応援してくれよなっ!』……なんて言われて。みっく、コレって脈なしだよねー?」
未来姉の両手を掴みすがるような目で見ているけど、未来姉苦笑いだよ。それでも、
「大丈夫っ! 朱里紗も充分魅力的だから、積極的にグイグイ行けば悠真だってマリアさんの事忘れちゃうよ!」
「でも、……それで嫌われちゃったらどうしよう?」
「そん時は私がなんとかしてあげるからさっ! 悠真だって男なんだから朱里紗みたいな子が言い寄って来たら考えも変わるって!」
小さい体を大きく見せる様に胸をドンと叩いて虚勢を張った。それを見て朱里紗は目を潤ませて、
「みっくぅー! 私っ、頑張るから協力してねぇーっ!」
覆い被さる様に抱きついて来た。未来姉苦しそうだよ。
しばらく抱きついて落ち着いたみたいだね、買ってきたミルクティーを飲んでポテチの袋を開け始めた。 それに素早く反応した未来姉は一枚摘んで、
「ところで、……朱里紗は何で悠真の事好きになったの?」
「うん。……それはねっ♪」
長い夜になりそうだなー、この後案の定朱里紗は朝方まで未来姉の質問責めにあったのでした。
第2章終わり🎸
本編はここまでっ♪
いやー、せっかくシンちゃん帰って来たのにバンドは進まずラブコメ路線に走ってしまいました。第3章はガッツリ音楽やっていきますよー♪
※
私事で申し訳無いのですが、暫くの間本業? の方に時間を割きたいので連載及び『カクヨム』をお休みします。
再開は未定です、ごめんなさい。
ぶっちゃけ、ここから先はバンドの話ばっかりになります。シンちゃんは夏フェスに、みっくは文化祭バンドに、悠真は場数を踏む為に色々なバンドのサポートにと、三者三様の夏〜秋を経ていよいよ三人でのライブが……。と言う流れになります。
私自身が楽しく書いてるので、完結まで書ききりたいと思っていますよ! 気長に待っていてくれると嬉しいです。
沢山の方に読んで頂いて、コメントの返信も日曜日だけとか都合の良い事ばっかりなのに、賑やかしのコメントをいっぱい貰えて本当に励みになり、『ヨシッ、明日も仕事頑張ろー!』ってなりましたよ♪
嬉しかったー、本当にありがとうございました!!
最後に、レイヴォーンやレッチリなど私が滅茶苦茶衝撃を受けたアーティスト達の中で特にハマったおススメのアルバムを!
The Black Crowes/The Southern Harmony and Musical Companion
ブラッククロウズ/サザンハーモニー
1992年に発表された2枚目のアルバムですが、2023年に最新リマスター音源に未発表曲やB面曲のデラックスエディションで再発されました。
ボーカルのクリス、ギターのリッチのロビンソン兄弟が今でも頑張ってます。当時(1992年)の映像、めっちゃイケメンです、特にリッチ♡
声もカッコいいし、この↓『スティングミー』は1曲目に収録されてるんですけど、イントロ聴いただけで胸を撃ち抜かれました♪
このイントロのギター、本当カッコいいから是非聴いてみて! ⬇︎
『Sting me』
https://youtu.be/OaH9wIQDUwE?si=E_H64MMffzCL4nyq
🌸読んで頂きありがとうございました🍒
🌸赤い眼鏡と4弦のマシンガン🍒〜『ねぇ、バンドやろうよ!』恋と仲間と音楽と!!〜 🌸桜蘭舞🍒@暫くお休みします! @sakuran108
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。🌸赤い眼鏡と4弦のマシンガン🍒〜『ねぇ、バンドやろうよ!』恋と仲間と音楽と!!〜の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。