モノクロの世界に色をくれたのは、貴方でした。

 水難事故で一人だけ生き残った主人公は、女子高校生となった。元々おとなしい印象の子どもだった主人公は、無視される生活を送っていた。そんな主人公に、親友が出来た。主人公と親友は、中学校生活最後の旅行に沖縄を選んで、フェリーに乗った。しかし、そこで予測不能な事故が起きる。そして主人公だけが助かったのだ。
 一人だけ生き残ったことで、主人公は罪悪感に囚われ、自ら死を選ぶことにした。ところが、そこで不思議な少年によって主人公の命は救われる。何度も主人公はその少年によって救われた。命だけでなく、心も。事故以来モノクロだった主人公の世界に、やがて色が戻って来る。
 そして高校でも主人公に新しく友人が出来たのだが――。

 助かった側と、助からなかった側。
 助けた方と、助けなかった方。
 罪を背負うべき人間なんて、どこにもいない。

 主人公の純粋さと、切なさに、そして新しい友情に、
 涙があふれる一作でした。

 是非、御一読下さい。

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