事故情報は誰のためにあるのか、改めて考えさせられる小説

いわゆる「二次被害」に焦点を当てられた小説になります。

『それでも君が、明日に灯火をくれたから。』は、直接の被害者に対する二次被害はもちろん、その家族、友人、それを救い出した者にまで焦点の当てられた、考えさせられる作品です。

また、もしも自分が被害にあったときに、この作品の内容を思い出せるようにしたいと思える作品でもあります。

内容としては重ためですが、非の打ちどころのない文章なので、比較的さらさらと読むことができます。

心理描写はもちろん、世界観などもかなり緻密でとてもリアルな反面、非現実的なエンターテインメント要素もあって、どのような結末を迎えるのか先が気になります。

一つ一つのセリフに、重みと、ハッとするような気づきを与えられるところもおすすめできるポイントになります。

災害や事故は、いつ、どこで、誰の身に降りかかるのか、誰にもわかりません。
できる限り多くの人に読んでもらいたい作品だと感じました。

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