亡霊は誰か? 注文は何か? 物語とは何か?
- ★★★ Excellent!!!
本作について、何を書いてもヤボになりそうですが、とりあえず書かせていただきます。
ミステリー故に、やや抽象的になってしまうのはご了承ください(ちなみに、私は謎解きが大の苦手です……)。
尚、本作を「物語」というとややこしいので、「本作」と作中の「物語」は分けて言葉を扱うこととします。
では、本題へ。
盗作の功罪を認めつつも、『面白い作品があって続きを読みたい』という気持ちに従うが故に、罪を犯してまで盗作をした我那覇。
実際に作品を書いたY先生を探すために編集者・アオシマと盗作した作家・我那覇は行動する。
アオシマの葛藤。我那覇の真意。Y先生の行方と捜査。これらが序盤のピースです。
そのピースが「物語の創作」の話、あるいは「物語のような妄想」に飛躍していく辺り、編集者と作家という設定が際立ちます。
そして、中盤、本作は大きく動き出します。
物語の哲学とその限界。我那覇の恩師への疑惑。妄想であって欲しいという願い……。
それらが繋がって、第二部では思いがけない展開となりますが、ここでは口にチャックです。
どのように書いてもネタばれになってしまうので……。
それでも、一言で言うとタイトルにもある「亡霊」とは何を指していたのか? ということです。
後半の展開からすると、アレの比喩なのかな、と思うところはあります。
そうなると「注文」の意味も、アレとかコレとか、と読後も思考を巡らせる楽しさがあります。
第二部のピースは「物語」です。
「物語」が持つ影響力、功罪、発信力……、それを理解した上で扱いに注意を呼びかけています。
では、何故、そのような注意がされるのか。
これらの謎は、実際に呼んでみて体験してみてください。
あまりにリアルな作品展開に、度肝が抜かれるはずです!