ようこそ令和グラン=ギニョヲルへ

20世紀の末アングラ演劇華やかなりし頃、たった二年間の活動ながら一世を風靡した伝説の劇団『東京グランギニョル』
それを現代に甦らせる、かの安倍晴明の「泰山府君祭」のような怪作である

私は両親に観劇を禁止され、伝説の舞台を見損ねた
21世紀に入ってリバイバル舞台を見たが、ものたりなかった、何かが足りなかった
それをこの作品で見つけた

大量の本が死蔵されている書庫に一人取り残されると、地層状態になった時代の歌声のようなものに圧倒される、あの感覚なのだ

小説の行間にびっしり詰め込まれ圧死寸前の筆者の脳内蔵書たちの歌が聞こえてくるのである
この教養の10億年分の地層の如き厚み、おそるべし!
その歌は言霊となり、一つ一つが吟味され研ぎ澄まされて、はまるべき場所にはめこまれる、人間国宝が手がける芸術作品のように、一行ごとが新たな生命に息づきはじめる

既にカクヨムの伝説と化しつつある「美少年」タグ
一癖も二癖もある怪しさとHENNTAI色にほの暗く輝くキャラたち
冒頭のとぼけた調子にまんまと乗せられ、アングラ演劇ならではの前座の芝居にすっかり騙されて、気づけば劇場の闇の中

令和グラン=ギニョヲル、満を持してにここに開幕!

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