要求仕様は二畳。メートル換算にて約3.6㎡……ッ!?定石破りの茶室作りに挑むは、後に「わび茶を完成させた男」と呼ばれる千利休。天下に近い者たちによる戦国プロジェクトX……いざ開幕!
どんどん読みたくなる面白さが、この作品にはあります。美しく、大人な話です。全て読み終えてなにもかもに合点がいった時、…この作品に出会えて良かったなあと、思うのです。
本来の大きさに足りない分をどのように補ったのか。それを知りたい方、読んでみてください。そして、そこに込められた思いに涙してください。わたしは、そこに欠けたるがゆえの美しさを感じました。それは、あの有名な女神像の腕のように、想像によって補われ より美しい像を我々に思い描かせるからです。四谷軒さんがこれまでに書かれたあの物語とこの物語と、史実と…色々なものが繋がっていることにもまた想像を掻き立てられました。この感動が、少しでも伝わりますように。
個人的にこの時代に興味が有ったのもあって、一気に読み終わりました。待庵でお茶を一服いただいて見たくなりました。
是非、ご覧あれ。天下人たらんと覚醒した秀吉。その男が、自らの股肱の臣を育てた、とも思える作品。やがて二人の間の悲劇をもたらしのたは、秀吉が変わりすぎたからなのか、宗易が利休となって変わりすぎたのか。或いは両方か…そんな将来の示唆に富む一作。
歴史オンチの私がこの作品にレビューとはおこがましいですが、あまりに面白がったので>(茶室)のもう半分である、信長さまの分の広さこのセリフに痺れましたぜひあなたもこのセリフに痺れてください❣️ひとつの茶室の有り様に、歴史を彩る権力者たちの思惑と欲望が交錯する、この壮大なロマンに目を開かれる思いがしました