心に呑み込み、目に焼き付けた言霊

 この物語を読んで、まず本当の美しさとは歪なものであるという言葉に衝撃を受けました。複雑な心情が滲み出る人生哲学を織り交ぜながら、物語が日記仕様で進行する中で、その意味が明らかとなります。
 タイトルの伏線回収が、際どい危うさを抱えていながら、強烈な引力を持つ存在として、心を奪われるような衝動感を覚えます。一見、狂気とも言える表現が、この物語を読み返すうちに、その資質に内在する本当の美しさとしてあふれ、愛しさとして滲み、涙としてつたう。この感情の至りは独特で、今までに感じたことのない感性として心を打つのです。他の作者様では決して書くことのできない言の葉のもつ深淵なる味わいを、是非ご堪能ください。

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