青春の刹那は永遠に


クリスマスの聖なる夜に咲いた遅咲きの恋。
その恋を結ぼうとキャンドルは美しく灯り、流れる讃美歌が甘く切なく空間を飾る描写が美しい。

これまでの二人の思い出が一瞬の出来事のように、清冽を極めん木枯らしに記憶のページが徒にも馳せらせる。

手紙で気づかされた彼女の本心。
刻まれる深い後悔の念。
それでも忘れられないあなたを想う心が何とも切ない。

過去の青春は刹那の如く、未来へ刻む心は永遠に。

たとえ目の前の恋が実らなくとも、流れる時の中で心に希望と愛とを秘める英姿が、冬空に映える。

読後感として新たな気持ちが清々しい小説です。