いつかの、夢の続きを

　中学卒業と共に、芸能活動を休止した咲洲陽菜は、幼い時のぼんやりした記憶の中にある遠い初恋を忘れていた。
　小学生の頃から殆どの時間を芸能活動に費やしたせいで、友人と呼べるのは同じくらいの歳の役者仲間しかいなかった。
　高校入学後、隣の窓際に座る一人の女子がどうしても気になる。
　彼女の名は立山美夜子。少しボサついた黒髪と、極太な黒縁メガネ。本を読んでいるのをよく見かける。
　如何にもな陰のオーラを纏う彼女を、私は何故か気にしていた。

——偶然にも隣の席になったからだろうか？
　
　彼女と私の間にある秘密。いや、忘れ掛けていた夢のような遠い記憶

　私は、いつかの夢の続きを見ることになる。