次から次へと畳みかける謎に読む手が止まらなくなる大正浪漫恋物語

酔いどれダメ親父に売られた少女が、名家の旦那様に溺愛される――と書くと、よくある恋愛ものだと思うかもしれません。
が、この作品はかなり違います。
よくある恋愛ものの姿をとっているのは第一話のみ。
第二話から「あれ?」と思わせる片鱗が見え隠れし、
読み進めるほどにいくつも謎が編まれていきます。
まるで主人公の少女の名「かさね」のように。

また豪華絢爛な大正浪漫の描写も大変美しいです。
女性読者が心惹かれるであろう要素が詰まっているのに、仄暗い恐ろしさが潜んでいる――絶妙なバランスで引き込まれます。

ところで「かさね」というと『真景累ヶ淵』を思い出す人も多いはず。
今のところ全く関係ありません。
が、作品全体にそこはかとなく漂う不吉な雰囲気に「かさね」という名はぴったりだとも思えます。

美と恋と謎が綾なす大正浪漫の世界に、ぜひあなたも足を踏み入れてください。

その他のおすすめレビュー

綾森れん@『男装の歌姫』第四幕👑連載中さんの他のおすすめレビュー734