物語の当初、体の弱い主人公の瑞香は、いよいよ命が尽きかけていました。
瑞香の父親は彼女を無理やり生かそうと、悪いもののけの手を借ります。
悪いもののけに騙されかけていたところを助けたのが、綺燐堂遊楽という名の文士。
瑞香は彼の力であやかしにされたことで助かり、飼われあやかしとして遊楽の傍にいることになります。
そんな遊楽の正体は、遠い世の帝が愛した七つの花にちなんだ力を代々引き継ぐ、七人の花神巫の一人。花神巫の中でも一番強いとされている人物です。花神巫は人をあやかしに変えることができます(遊楽が瑞香を飼われあやかしにしたように)。
物語の中に出てくる花神巫は遊楽だけではありません。他の花神巫も個性豊かで、それぞれの魅力を持っています。あなたにも花神巫の推しができるはず。
ちなみに、↑に書いた説明は、あくまで物語序盤で発覚しているもののみで、後々「そういうことだったのか……」と驚かされる箇所がいくつもあります。
異国に逃亡していた花神巫が来国し、ある交渉を持ちかけてきたり、途中で明かされる新事実にびっくり仰天したり、ラストスパートの怒涛の展開、キャラクター達それぞれの動向にハラハラドキドキ&興奮したり……決して途中で飽きることのない、ドラマチックな物語構成に圧倒されることでしょう。
文章も耽美で表現が深く、明治のファンタジー世界観にどっぷり溺れられます。文章の色香がすごい。
キャラクターが全員立っていて強烈な魅力を放つこの作品の中で、私は特に主人公の瑞香が好きです。
「さすがに惚れた」と言わざるを得ません。
昔から病弱で、生きるということがどういうことか分からなかった瑞香は、遊楽や遊楽の周りの人々と過ごして、誰よりも強く美しく、みんなを守るように、命を救ってくれた遊楽を今度は助けるほどに成長します。
特にラストスパートでは、瑞香の思いに涙し、瑞香の凛々しさに惚れ惚れします。
素晴らしい作品でした。
カクコン9が終盤に差し掛かりました。だから、僕はこのレビューを書いています。
「皆様、是非、この素晴らしい物語を読んでみられて下さい」
こんなお願いを思わず書いてしまう事を、どうかお許し下さい。
この一か月以上の間に数々の作品がカクヨムの世界に生まれて来ました。そのどれもが作者様の、熱い想いと、強い決意と、そしてとてつもない「書く」苦しみを伴ない、時間に追われながらも、心おらずにとにかく懸命に綴られていると思います。
だから僕にできる事は「応援」する事!
レビューって、客観性とか、物語の根幹的な想いとか、取り扱うテーマとか、そんな筆者様の大切な「何か」を掴む事も大事だけど、こちらの物語に限っては、僕はただ「応援したい!」、そう思っています。大好きな作家様の物語を、より多くの読者様に紹介したい、そんな気持ちだけを改めて、そして心を込めてお伝えさせて下さい。
こちらの「沈丁花は碧血を所望する〜神憑き文士の飼われあやかし〜」は、僕の尊敬する壱単位様の魂の入った物語です。その綴られる言葉、文章、物語、すべてが「生きている」んです。そう、「生きています」! そこにある言葉がすっと入って来て、文章に一気に心奪われ、気がつけば物語の世界に僕はいます。いつも、いつも、読む度に、僕はこの物語の世界にいるんです。
子供の様に無邪気にこの世界に僕はいます。大好きな世界です。
僕は物書きをお恥ずかしながら目指していて、様々な小説を拝読させて頂き、間違っているかもしれないけど深く読み込んで、色々と勉強をさせて頂いてると思っています。
ですが、そんな僕が無邪気に好きになって、何も考えずに楽しめてしまうのが壱単位様の綴られる物語なんです。もう一度書きますけど、
僕はこの物語の世界に気がつけばいます。
そんなとても素敵な物語を、強く、強く、お勧めさせて下さい。
カクコン9が終わる前に、もっと、もっと、たくさんの読者様の目に、この物語が届きます様に! 僕はそう願い、心を込めて、皆様にこのレビューをお届けさせて頂きたいと思っています。
呆れるほどに、すごく、全力で、めいいっぱい、宜しくお願い致します( ;∀;)
第2話にして、もうレビューコメントを書いております。
それくらいの衝撃を受けました。
ストーリーはまだはっきり分りません。だってまだ2話までしか読んでないから。
でも、一語一句が。台詞が。ちゃんと綺麗に共鳴し合って一つの世界を作っているんです。
妖のほの暗い世界と、人が作り出したガス灯の、橙色の明かりが共存した世界。
それが、文章を通してブワッと目の前に広がります。
なんなら本屋の埃と黴と、古い木造建築の匂いまで漂ってきそうな。
四の五の言わず、とにかく読むべし。
ええ、読んで下さい。
私も引き続き3話から読み進めます!
オススメ!
追記:
読み終えました。
私、沈丁花の香り知らないんです。でも、読んでると匂うんですよね、不思議と。
文章って、こんなに五感を刺激できるものなんですね。感服いたしました。
作者様は言葉の魔術師ですよ。いや、凄い。
明治時代、文士、あやかし。
そのキーワードに期待してページを開いた者を決して裏切らない、濃淡の際立つ、あでやかな物語。
独特の語り口を持つ作家様の筆致が、時代を感じる情景と、キャラクターたちの台詞にこれでもかとマリアージュしております。
文士の遊楽先生は、文句なく完璧に素敵ですし、キャッチコピーで「あたしの男に、手ぇ、出すんじゃねぇ」と啖呵を切っているあやかしさんは、しなやかで危うくて強い。
他にも魅力的なキャラクターが目白押しな中で、ヒロインの瑞香さんが、ひたすら戸惑いながらも、前を向こうとする姿が、個人的にものすごくキュンなのです。
また、こちらの作品はコメント欄で、有志による二次創作を楽しむこともできるという豪華特別仕様となっておりますので、ぜひ。