去れるもの、去れないもの

美羽と村居の会話に、読む人それぞれのこれまでの人生経験を重ねることができ、まるで万華鏡のように世界が広がります。
高校時代にいつもいた顔ぶれのその後はそれぞれで、おとなになるにつれて周囲の価値観に縛られてゆくことがあります。
自分をつらぬきとおすことも時には難しく、理解してもらうために言葉を尽くすこともあります。「普通の人なんていない」この思想の温かさや包容力そして哀切をこの作品からぜひ味わってください。
それらを読む人の心に届けるのは方言です。方言の向こうに美羽や村居たちの生きる社会がにじみ出ています。
タイトルが表す言葉を、ぜひ物語の中から見つけていただきたいです。

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