美羽と村居の会話に、読む人それぞれのこれまでの人生経験を重ねることができ、まるで万華鏡のように世界が広がります。
高校時代にいつもいた顔ぶれのその後はそれぞれで、おとなになるにつれて周囲の価値観に縛られてゆくことがあります。
自分をつらぬきとおすことも時には難しく、理解してもらうために言葉を尽くすこともあります。「普通の人なんていない」この思想の温かさや包容力そして哀切をこの作品からぜひ味わってください。
それらを読む人の心に届けるのは方言です。方言の向こうに美羽や村居たちの生きる社会がにじみ出ています。
タイトルが表す言葉を、ぜひ物語の中から見つけていただきたいです。
そこは九州の田舎町。さびれかかったショットバー。
「次、何を呑む?」
たった一人で切り盛りする雇われママ(バーテンダー? 店員さん?呼称が難しい)は、高校の時の学級委員だった。
そんな居心地の良いバーで、やはり、高校の時同級生だった男女、美羽ちゃんと村居くんが、酒を呑んでいます。
共通の友達(やっぱ高校の時の同級生)の話題をだしながら。
ちら。
ちらり。
村居くんは、美羽ちゃんの横顔を盗み見ています。
やがて、……「ごう、ごうとうなる」のは何なのか、読者は知る事になります。それは心象風景。それは……。
ハイ、ここまでよ―!
続きは、本文を読んでね。
大人の雰囲気。
美味しそうなお酒たち。それらが魅惑的な物語。
この作者さまの、「イソヒヨドリの町で」「ハクセキレイ」からのスピンオフでもあります。
未読の読者さまでも、楽しめますよ!
おすすめですよ。
ぜひ、ご一読を!