痛く冷たい世界を、手を繋いだふたりが歩んでいくような物語
- ★★★ Excellent!!!
推しのアイドル「凛奈」が卒業してしまい、心の拠り所を失ってしまった「世奈」でしたが、ある日、バイト先でそのアイドル「凛奈」と偶然の再会をします。
憧れの存在との夢のような時間を過ごす世奈でしたが、凛奈は凛奈で自身の「最後の地」を探しているところなのでした。
一方の世奈は、アイドル「凛奈」の存在でつらい家庭環境をぎりぎりで耐えている状態でした。
やがてふたりは互いの事情を知ることとなり、アイドルとファンという関係ではなく、女の子同士で惹かれていくようになっていきます。
そこには共依存のような危うさがあり、また、つらい現実を見て見ないふりをする日々でもあり……。
主人公ふたりの心の痛みが丁寧に描かれ、それを舐め合うようなふたりの関係には百合とは違った尊いものが感じられます。
互いに依存しつつも、このままではただ問題を先送りしているだけだと自覚しながらも、解決への道を進めない日々。けれども一方が前を向き始めると、置いて行かないで欲しいと願ってしまう心の脆さ。
どのような結末を迎えるのか、最後まで見届けたい作品です!
百合や共依存といったワードに惹かれる方、痛みや不幸の中で生きていく姿に共感を覚える方、ぜひとも一読くださいませ!
※このレビューは「第52話 身体で繋ぎ止めたくて」が最新話の時に書かれたものです。