あとがき 〜史実と架空の答え合わせ〜
ここまでお付き合いくださり、ありがとうございます。
これにて、
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【つながる物語たちのご紹介】
佐久良売と
●「
https://kakuyomu.jp/works/16817330667193577067
佐久良売と嶋成の前日譚であるショート、
●「
https://kakuyomu.jp/works/16818093087537364586
真比登の前日譚であるショート、
●「
https://kakuyomu.jp/works/16818093087578284320
「鴨すらも」を受けて、悲しさを救いあげるためのショート、(真比登主人公)
●「鶴の間遠く 〜幸せ真比登〜」
https://kakuyomu.jp/works/16818093087618574981
と、番外編をちょこちょこ、ご用意しております。どれも、本編と密接に繫がっております。お時間のある方は、どうぞご覧くださいませ。
さて、「恋や明かさむ」は完結しましたが、まだ、語り終わっていない物語が二つ、あります。
一つは、
●「あらたまの恋 ぬばたまの夢」
https://kakuyomu.jp/works/16817330650489219115
で語られています。
そして、コメント欄でも多くの読者さまが気にかけてくださった源。彼の
●「見ねば恋しき 〜
https://kakuyomu.jp/works/16818093087500871880
●「
https://kakuyomu.jp/works/16818093087681448288
を経て、
大川を主人公とした、
●「遣唐使の恋」
https://kakuyomu.jp/works/16818093086444140945
へと続きます。これは、「恋や明かさむ」連載開始の前から、決まっていた事です。「遣唐使の恋」は連載中。ぜひ、ご訪問ください!
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【史実として】
そのあとも、局地的な反乱は続き、宝亀十一年(780年)、大和朝廷になびいていた蝦夷───蝦夷の
多賀城は、その後、再建されます。
宝亀五年(774年)
さて、
昭和に入って、発掘され、宮城県石巻市飯野中山に確定されました。
発掘調査から、山の上の政庁は、燃え落ち、そのあと、再建されなかった事がわかっています。
大和朝廷の徴兵制度や、百姓を徴兵した軍団を補う形で、
鎮兵は、大和朝廷から穀物を支給されたことは、史実です。
現代では「太刀」と書いて、「たち」と読みますが、奈良時代では「大刀」と書いて「たち」と読みます。
【架空として】
・鎮兵は、詳細があまり、わかっていません。
任期や、辞める時にお金を払う、は、架空です。
・また、日本兵の総数や、蝦夷の兵の数は、架空です。
・
麦子も、架空です。
・佐久良売、真比登、は、架空です。
・
・大川が、
・蝦夷の登場人物、風俗も、架空です。筆者に、特定の民族を名誉毀損する意図はありません。
【独特の用語】
・
・
・
でも、拙作では、愛人、として使います。
・たたら
【「恋や明かさむ」について】
この物語では、本格的な戦争物✕恋愛の、ロマンティックを追求したかったので、書く事は、非常にチャレンジでした。
とくに、戦争部分が。
バトルアクションも、毎回、「書けるだろうか?」と身構えながら、書いていました。
完結まで書くことができて、ほっと胸を撫で下ろしております。
この物語は、カクヨムコン9参加作品として、気合を入れて作りました。
佐久良売はなぜ、結婚したがらないのか?
その理由は、
「そういう理由だったのか!」
と驚かされるはずです。
物語を読み進んでいかないと、佐久良売という一人の人間が持つ、深い部分には、たどり着けません。
佐久良売の人生を振り返ってみましょう。
◯六歳───
◯八歳───真比登とニアミス。猫の
朝獦さまの恐ろしさを目撃。
幼い心に、
恋心の必要以上の抑圧。
その後、うまく恋ができなくなってしまう。
朝獦が、奈良の貴族として洗練されつつも、政治のトップを狙う野心・実力があり、男の色香ムンムンだった為、どの男を見ても魅力を感じなくなってしまったのも要因。
◯十三歳───朝獦は死んだと聞かされるが、どこか信じられない。
◯十五歳───母親、
名も知らぬ少年(虫麻呂)に高い薬草を恵んでやる。
平城京の
◯十八歳───厳しい仕事っぷりで、鬼より怖い
どんな男を見ても、恋文をもらっても、ときめかない、心を動かされない自分に
経験がないせいかしら? と、熱心に言い寄ってきた、
結婚適齢期でもあるし、畿内の豪族の妻にしてもらえたら、お父さまも喜ぶわ……。という打算もあった。
結果、相手に賭けの対象として
男性不信が決定的になる。
◯二十一歳───結婚適齢期の二十歳をすぎたので、一生結婚しないで、いずれは国に帰り、父親・
家族は大好き。
でも、男には、まったく心が動かない。
自分は女として、恋をする心が欠落して生まれてきたのだろう。
誰かの妻になって暮らしていくのは、苦痛でしかないだろう、と思う。
朝獦さまに幼い初恋はできたのに、なぜかしら? と思っている。
(後日、嶋成に、「初恋と呼べるようなものは、まだ
恋心を封印した時のことは、恐怖体験と結びついているので、心の防衛反応として、忘れてしまっている。)
◯二十三歳───七月、
家族が心配で、安全な平城京から、
父親が飛び上がって喜んで、結婚適齢期を過ぎた娘のお見合い相手を探して奔走しはじめる。
嶋成と縁談。
無礼な男をフライング・フィッシュ&ソーサーアタックで撃退する。
その後も無理矢理、縁談を組まされ、毎回、難癖をつけ撃退し、必ず不審火があった。
八月───。
(物語スタート)
五回目の縁談で、
「───一人? 寂しいぞ?」
とつぶやいた縁談相手のお供にイラッとし、ビンタ。
そこから、佐久良売の人生も、動き出します。
佐久良売は、ものすごく美人で、お嬢さま育ちで、プライド高くて、ツンツンしつつも、真比登を溺愛する、大好きなヒロインです。
真比登も、とことんカッコいい、それでいてピュアで、佐久良売を溺愛してる……はずなんだけど、なぜか、「溺愛される」と受身で書きたくなる、可愛いヒーローです。
見た目は、マッチョメンでごついのに、可愛い男です。
「恋や明かさむ」は、2023年12月1日に、公開開始。
2024年8月31日、完結。
途中、「真比登の章」完結後、「古志加の章」開始まで、二ヶ月近く、お休みを挟みましたが、それ以外は、(月)〜(金)、週5回公開、時には毎日公開をして、完結まで走り抜けることができました。
これだけのペースで執筆するのは、簡単では、ありませんでした。
これもひとえに、ご覧くださった読者さまのおかげです。ありがとうございました。
【参考文献】
○『万葉仮名で読む万葉集』 石川九楊 岩波書店
○『古代歌謡集』 日本古典文学大系 岩波書店
○『万葉集』 岩波書店
○『日本の伝統色』 和の色を愛でる会 大和書房
○『木簡 古代からの頼り』 奈良文化財研究所 岩波書店
○『地図でみるアイヌの歴史 縄文から現代までの1万年史 』 平山 裕人 明石書店
○『ニューエクスプレスアイヌ語』 中川 裕 白水社
○『アイヌ神謡集』
○『平城京に暮らす』 馬場基 吉川弘文館
◯『万葉樵話』 多田一臣 筑摩書房
○『超訳 孫子の兵法』 許成準 彩図社
* * *
おまけ。
夜。
佐久良売は、肩をとんとん叩いて、
「ふう、疲れたわぁ。
と、ちらちらと真比登を見る。
真比登はにっこり笑って、佐久良売の肩を揉みはじめる。
もみもみもみ……。
もみもみもみ……。
「うふふ、ありがとう。」
佐久良売は満足そうに微笑む。
そのあと、表情に影がさし、迷うように、切りだした。
「ねえ、真比登。
あなたに会う
あたくし……。
あなたの可能性を潰してるのかしら?
あなたを、
「佐久良売さま。」
真比登の腕が、する、と前に伸びて、佐久良売の腹を抱いた。
「オレは、佐久良売さまの傍にいれる毎日が、幸せです。
愛しています。
出世になんか、興味ありません。
オレが求めているのは、この、良い匂いの肌と……。」
佐久良売の後ろ首の髪をかきわけ、
「可愛い
後ろから緩く抱きしめた佐久良売を、ゆらゆら、揺らす。
そして、ぎゅうっと強く抱きしめた。
「……そうは言っても、しがらみもあります。もし、旧知の
佐久良売は、はっ、として、振り返り、真比登に向き直った。
真比登は、落ち着いた優しい微笑みだ。
「
佐久良売さま、この幸せな暮らしは、いつまで続くかわかりません。
ここは、
だからこそ、一日、一日を大事に……。」
真比登は佐久良売の肩に手を置き、
「今夜も、美しい天女とさ寝させてください。」
佐久良売にそっと、口づけをする。
唇を離した佐久良売は、とろけるように甘く微笑み、
「良くってよ。」
と帯を解いた。
───完───
↓挿絵です。
https://kakuyomu.jp/users/moonpost18/news/16818093083943002276
恋や明かさむ 〜偽りの縁談〜 加須 千花 @moonpost18
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