先入観を取っ払って、登場人物たちの顛末を淡々と見ていたい。

虹乃ノランさんといえば、心打たれるような純文学を得意とされている印象なのですが、こちらは先が気になってハラハラしてしまうようなサスペンスです。
観覧車式になっている賃貸住宅に造られたのぞき部屋。ゲームで言うならサイレントヒル4が近しい設定だと思います。
世界観がもう狂っているのですが、学業を投げ捨ててまでパーテルノステルへ通い詰める主人公が、一方的に見つめ続けていた女の子を守りたい、という歪な正義感を振るって報いを受けるという顛末まで狂気に満ちています。
もちろん主人公も、実行犯の青ひげもやっていることは犯罪行為ですし、許されざることなんですけれど、冷ややかに語られる“執着心”“狂った庇護欲”そういった悪い意味の人間らしさを切り取って読む、そんな味わい深さがこの作品にはあると感じました。
この作品にしかない罪深さ、凄い好きです。

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