宇宙が残酷でも希望はある。マルグリットが私たちを連れて行ってくれる。

蒼井シフト様の代表作:「星の人シリーズ」。地球人と違い、星間飛行や太陽系に「駅」の建設すら可能にしている、超高度な技術を持つ異星人「星の人」。
彼らの辿った歴史、その過去にフォーカスを当てた作品。

本編シリーズのヒロイン的キャラクターであるマリウスは〝クローン〟であるが、その昔星の人達が所属する帝国で、クローン達は『戦う人たち(クリーガー)』と呼ばれて、戦闘行為に使役されていた……。

明るく芯の強い主人公・マルグリットと、彼女を親身になって支えるアハト。
機械知性(MI)のヤヴンハール。そして少しずつマルグリットに影響されて変わっていく師団長やクラワツム師団の仲間達。
これまでの「星の人シリーズ」に比べると、ピリピリと緊張感が続いたり戦慄するような場面があったりと、スリリングな展開。
主人公マルグリットの健気なまでの優しさや、明るさに救われます。
そしてそれは、作品世界に生きる『彼ら』にとっても同じなのです。

豊富な知識からくるSFガジェット、世界観はそのままに、
いっそう深化した心情描写によって没入感もパワーアップ。
しみじみと、だけど希望はある、素晴らしい読後感を得ました。オススメです。