蒼井シフト様の代表作:「星の人シリーズ」。地球人と違い、星間飛行や太陽系に「駅」の建設すら可能にしている、超高度な技術を持つ異星人「星の人」。
彼らの辿った歴史、その過去にフォーカスを当てた作品。
本編シリーズのヒロイン的キャラクターであるマリウスは〝クローン〟であるが、その昔星の人達が所属する帝国で、クローン達は『戦う人たち(クリーガー)』と呼ばれて、戦闘行為に使役されていた……。
明るく芯の強い主人公・マルグリットと、彼女を親身になって支えるアハト。
機械知性(MI)のヤヴンハール。そして少しずつマルグリットに影響されて変わっていく師団長やクラワツム師団の仲間達。
これまでの「星の人シリーズ」に比べると、ピリピリと緊張感が続いたり戦慄するような場面があったりと、スリリングな展開。
主人公マルグリットの健気なまでの優しさや、明るさに救われます。
そしてそれは、作品世界に生きる『彼ら』にとっても同じなのです。
豊富な知識からくるSFガジェット、世界観はそのままに、
いっそう深化した心情描写によって没入感もパワーアップ。
しみじみと、だけど希望はある、素晴らしい読後感を得ました。オススメです。
2年間の兵役のために、故郷の星を離れて惑星クラワツムにやって来たマルグリット。
そこで戦う人たち(クリーガー)と呼ばれる戦闘員の8番(アハト)に出迎えられたマルグリットは、クリーガーたちと生活をともにすることになる。
マルグリットの仕事は、通常の兵役に加え、クリーガーではない一般人が兵役についた際、ストレスとなる原因が何かを調べることだった。
クリーガーには一般的な生活習慣の感覚が乏しく、その点が普通の人間とは大きく違っていたのだ。
体をまったく洗わなかったり、とんでもなく不味いご飯でも平気だったり……兵役についたばかりのマルグリットに、さまざまな試練が待ち受けるのであった。
本作は『星の人』シリーズの最新作です!
しかし、描かれる世界はどのシリーズよりも過去の出来事であり、(違っていたらごめんなさい!)
かつての兵士たちの、とてつもなく過酷な軍務環境を垣間見ることができます。
本作の主人公マルグリットが、キツい兵役をどうにか乗り越えていく中で成長し、クリーガーたちとともに戦い、彼女たちのために動こうとする場面に、強く心を打たれました!
また、クリーガーの一人であるアハトとのやり取りから、『死』について深く考えさせられます!
明るく楽しい場面も盛りだくさん!
素晴らしいSF作品です!
是非ともご一読を!!!