丁寧に練られた構成と、熱い展開に惹きつけられる作品です

滅びゆく世界、消耗品の労働者として生きる主人公─兎山四郎。
　彼が異世界ミストリアスで生きる喜びを知り、人々を愛し、世界を愛し、やがて滅びが定められたこの世界を救うために抗う物語が丁寧に描かれています。
　いくつもの平行世界を渡り、時にはバッドエンドと言える終わりを迎えますが、そこで出会い絆を結んだ人々、経験、すべてが決して無駄になることなく、次のルート、そして最後に繋がっていく構成は、非常にワクワクする素晴らしい展開でした。
平行世界においても登場人物の信念は変わらず、「ああ、彼らは世界が違っても彼らなんだなあ」と、読んでいて感動する場面も多かったです。
　また、ミストリアンクエストの前日譚ということで、そちらの作品の一読者として、ふと出てくる固有名詞に「おっ！」となる部分もあり、一層作品を楽しむことが出来ました。

　最後に、完結お疲れさまでした。