何者にもなれない人生の起死回生の一手。彼らに果たして救いはあるのか。

物語は舟木中3年B組の面々が卒業にあたって、教師から「君たちは何にでもなれる。何だってできる。先生だって出来たんだ、絶対に出来るさ」と別れの言葉を贈られる、そんな爽やかな場面から始まります。しかし、卒業から10年後、教師と卒業生が次々に殺害される衝撃的な事件が発生します。

その犯人は同じ卒業生でいじめられっ子であった鈴木であると、物語上で早々に提示されます。ただ、主人公の落合を含め、舟木中3年B組卒業生は何かしらの闇を抱えていて、『何者にもなれなかった大人たち』へと成長を遂げており、果たして本当に犯人は鈴木なのか、常に疑念がつきまといます。

全3章中の1章は、懸賞金1000万円を巡る卒業生間の醜い騙し合いが見どころでした。犯人とされる鈴木は何をしでかすか分からない異様さがあり、その恐怖感も一つの見どころとなっています。

また、舟木中3年B組卒業生の面々の、何者にもなれなかった現状への心の叫びが随所に示されていて、心がえぐられるような思いがありました。彼らの現状は自業自得の面もあるのですが、誰か彼らを救ってやれないのかと心底思ってしまいました。

以上は全3章中の1章まで拝読したところのレビューであり、何者にもなれなかった彼らの行く末を最後まで見届けたいと思います。