サンタの正体をあばいてはならない

ウツロ

第1話

「サンタクロースってパパなの?」


 ついに来てしまった。禁断の質問が。

 小学校高学年となった娘も、そろそろ疑問に持つだろうと思っていた。


 インターネット、テレビや学校の友達、真実に触れる機会はたくさんある。

 いずれサンタクロースはいないのかと、問われる日が来ると思っていた。


「なんでそう思ったの?」


 優しく聞き返す。

 真実を話すのはまだ早い。ちゃんと確認してからでも遅くはない。

 真実はいつだって残酷だ。

 それを受け止められる準備ができているか、見極めなきゃならない。


「だって、パパに欲しいって話したゲームをサンタさんがプレゼントしてくれたから」


 そうか、それでバレちゃったか。賢くなったな。娘よ。

 これなら、どんな真実だって受け止められるかもしれない。

 

「いいかい? 〇〇ちゃん。今は三人からプレゼントもらっているだろう? パパ、ママ、サンタさん。パパがサンタなら、来年からプレゼント二個になっちゃうよ?」


 それを聞いた娘は、しばらく考えると――


「うん、やっぱりサンタさんはパパじゃなかった!」


 たくましく育ってくれて何よりだ。

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サンタの正体をあばいてはならない ウツロ @jantar

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