幼馴染が欲しすぎる!!

夢形真希

プロローグ

第1話 可愛い幼馴染が、欲しかった

可愛い幼馴染が、欲しかった。


何の取り柄も無い僕を、ただ最初に仲良くなったというだけで、世界中の男の中で一番に選んでくれる美人な女の子が、いてくれたらよかった。

ありのままの僕を素敵だと言ってくれて、僕の中のどんな一面も諸手を広げて受け入れてくれる優しい女の子が、そばにいて欲しかった。




読者諸賢がイメージしやすいように、具体的な話をしよう。



『お前彼女出来たのかよー笑』と僕に訊ねてきて、

『まだいないんだよね』

と僕が返すと

『やっぱりな、お前ってモテなそうじゃん』

と口では小馬鹿にするものの、内心すっごく喜んでいるような、女友達のような関係の幼馴染だとか。


まだ小学校にもあがっていない頃にした、

『大人になったら結婚しよう』

という約束を、僕が忘れた頃もけなげに覚え続けていて、その後どんなイケメンや金持ちから告白されても、

『ごめん、私昔から好きな人がいるの』

と言って断り続け、最終的に僕に

『私がずっと好きだったのは、君です』

と告白してきてくれる幼馴染に、憧れていた。


そんな幼馴染と過ごす青春を、憧憬していた。


最後までそんな妄想を、幻想を抱きながら、僕こと弓槻尤(ゆみつき ゆう)の人生は20年の幕を閉じた。




・・・・・・はずだった。


暗闇に沈んだはずの僕の意識は、赤ん坊の産声のような轟音で覚醒する。



「おぎゃあ、おぎゃあ、おぎゃあ」


うーん。


なんだかやけに喉が痛い?


あまりにも痛んだのでようやく気づいた。


叫んでいるのは僕でした。


20歳にもなって、なんとも情けない声をあげる僕。


そんな僕を軽蔑するどころか、眼に光るものを浮かべながら優しい笑顔で見つめる、皴の無い顔の両親。


・・・なるほどね。


どうやら僕は20年前、生まれたばかりの頃の自分に転生してしまったらしい。



「おぎゃあ、おぎゃあ、おぎゃあ」

(だとしたら、これはチャンスだ)

「おぎゃあ、おぎゃあ、おぎゃあ」

(うまくいけば前の人生で失敗したことを、全部やり直すことができる)


「おぉ、元気な声だ。ママ、この子は今なんて言っているんだろうな?」

「きっと『生んでくれてありがとう』って言っているのよ、パパ」



「おぎゃあ、おぎゃあ、おぎゃあ」

(よし、今度の人生ではカワイイ幼馴染と付き合って、ウキウキリア充ライフを謳歌してやるぜ!!)


こうして僕・弓槻尤の第二の人生は幕を開けたのだった。

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