機械人形は「0」と「1」の狭間の声を聴くか?

機械人形と、歌姫が出会う。
機械人形は体制側。歌姫は反体制側。
歌姫は革命を鼓舞する歌を歌うがゆえに、やがて。

機械人形の手元に残ったホログラフ。人形はそこに「0」と「1」の狭間の声を聴いているのだろうか?
聴いているのかもしれない。
聞こえないのかもしれない。
それは読者の解釈に委ねられている。
たぶん、どちらとも取れるラストである。

私は、聞こえないのではないかと思っている。
そのホログラフが「肉体」と繋がっていたときにはたしかに響いていたはずの「0」と「1」の狭間の声が、聞こえないのだ。それゆえに残滓に執着するのだろうと思った。

機械人形は技術的特異点(シンギュラリティ・ポイント)を超えることができず、彷徨う。
超えていればきっと、機械人形の執着は情熱に変わっていたはずなのだから。