猟奇事件、それとも怪異? 都市伝説が現実を侵蝕してゆく怪奇ミステリー!

 禍津町、という地域を舞台に巻き起こる、ホラー味の強いミステリー。あるいは、謎解き要素の散りばめられたホラーでしょうか。
 そう思えるのは、舞台として描かれる地域も登場する人物たちも、一癖二癖ありながらリアリティのある、現代的な背景を持つ人々だからかもしれません。

 都市伝説が大好きな女子高生たちが「恐怖のピタ止めチャレンジ」というものにハマり、そこから連続殺人事件が広がってゆく。
 その事件も、一見すると猟奇的な犯行に見えるのに、目撃者の目の前で現実ではあり得ないことが起こってゆく……。

 第一章はとてもホラーっぽい雰囲気と演出がなされているので、これは超常現象!? と思いながら読み進めていたのですが、途中から視点が刑事側に移ると事件の印象も一変します。しかし、要所に差し込まれた被害者側視点を見れば、やっぱり怪奇現象が起きているようにも思えて。
 群像劇という形式を巧みに使って展開されているので、事件の真相だけでなく、誰が何を知って隠しているのかも気になって仕方ありません。

 密度のある描写ながらも登場人物たちがコミカルで、怖すぎないのも読みやすいです。(と言いつつ私は昼間しか読めませんが!)
 ぜひご一読ください。

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