第2話 深まる謎

アンナは女性の泣き声を追って、闇に包まれた洋館の中を進んでいった。彼女の手には、廊下の壁のランプを借りてきた一灯の照明だけがあった。


声は2階の廊下の最奥から聞こえてきた。アンナが足を進めると、前方に一つだけ閉ざされた扉が目に入る。


「この声…この部屋から?」彼女は緊張しながらも扉に手をかけると、予想に反して扉はすんなり開いた。


部屋の中には、美しい若い女性のポートレートが掛かっていた。その女性の瞳は、深い悲しみとともにアンナを見つめているようだった。


突如、背後から聞こえるピアノの音色。アンナは驚いて振り向くと、部屋の隅にある小さなピアノの前で、女性の霊が座っていた。彼女はエドワードが以前演奏していたのと同じ曲を弾いていた。


アンナは震えながらも、その霊に話しかけた。「あなたは…リリアンさんですか?」


霊はピアノを弾く手を止め、ゆっくりとアンナに向き合った。「私はリリアン。あなたは…?」


「私はアンナ。この洋館に迷い込んで、エドワードさんに泊めてもらっているんです。」アンナは答えた。


リリアンの霊は微笑みながら言った。「彼には大変お世話になっているんですね。」


アンナは深呼吸をして、勇気を振り絞った。「リリアンさん、あなたはなぜここに…?」


リリアンの瞳には涙が浮かんでいた。「私はエドワードを待っているの。彼との約束を果たすために…」


その瞬間、扉が勢いよく開き、エドワードが駆け込んできた。「リリアン!」


リリアンの霊は悲しげに微笑みながら消え、部屋には静寂が戻った。


エドワードは深いため息をつきながらアンナの方を向いた。「アンナさん、申し訳ございません。彼女と話すことができましたか?」


アンナはうなずき、「彼女はあなたを待っている、と言っていました。」


エドワードは悲しそうに首を垂れた。「彼女との約束…それは私の心の中でずっと続いているものなのです。」


アンナとエドワードの間には、二人の悲しい過去を知ることへの決意が生まれた。

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静寂の館 @kyatapiokashi

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