SF小説は古典的モチーフの夢を見るか?

 この小説は、28世紀を舞台にしたSF的な要素と、ちょっとしたゴシック(原義的な意味ではなくファッションで使われるような暗い色調だがどこかロマンチックな雰囲気の意)の要素が絶妙に組み合わさった短編です。

 物語は、活字中毒の主人公が無実の罪によって拘置所に送られてしまうところから始まります。舞台となる拘置所は、四次元の空間に設えられた存在で、その不思議さが物語全体を鮮やかに彩っています。

 主人公が寝たきりの老人と一匹の黒猫と出会ったことで物語は少しずつ進展していきます。黒猫と図書館という組み合わせは、どこか古典的ながらも、読書好きに刺さるモチーフではないでしょうか?

 また、題名にある「コンニャク爆弾」というパワーワードは、ストーリーのいいアクセントになっています。そしてこのコンニャク爆弾が、大変なことを巻き起こすのです……。

 この作品は全体として対照的なモチーフが絶妙に混在していると思います。四次元の拘置所というSF的な設定と、黒猫とたどりつけない図書館というゴシック風味の要素、さらにはコンニャク爆弾というパワーワードの組み合わせが、短編ながらも魅力的に描かれています。短いながらも独自の世界観は、読者を魅了すること間違いなしです。

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