次元城ともいえる妙味あふれる世界観

 場所は確定死刑囚の終の棲家。二十八世紀のネオ・トーキョー拘置所と呼ばれる舞台装置は、次元を超えた風景と感覚とが特徴的で、とても引き込まれる中毒性を孕む。
 次元に象られたであろう、黒猫の右前脚。
 時間の縁が滑り落ちるという独特な描写。
 奇妙な因縁が手繰り寄せる一冊の本。
謎が謎を呼ぶ描写に次元のトリックめいた設定が絶妙に絡む、それはまるで奥妙な世界観に迷い込んだ時の旅人になったかのよう。名前の無いぼくと黒猫、かつての文豪が書した連想も醸しつつ、目的地を探す旅は始まったばかり。
さぁ、追いかけよう。

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