SF巌窟王

 コンニャク爆弾を爆発させた罪という理由で四次元の牢屋に囚われたぼく。そこでは不思議な出来事が起こり、常世や幽世〈かくりよ〉のような世界が広がっていた――。

 訳の分からない罪状、牢獄に佇む老人、そして黒猫、コンニャク爆弾とはなにか……

 謎が謎を呼ぶストーリーですがここで一旦物語に補助線を引いて楽しんでみます。

 罪状はともかくとして老人の存在はアレクサンドル・デュマの「モンテ・クリスト伯」に出てくるファリア司祭のようでもあります。彼がダンテスに託した財宝と知識は、この物語では一匹の黒猫でした。

 黒猫こそ世界にとって財宝で、知識である、そんな象徴を見せる本作。

 深い衒学的物語、一読の価値アリ!

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