書籍化されていないのが不思議なくらいの、超ハイレベルなロボットSF!

第一話からしっかりとした書き込みに、謎を提示することにより読者を手放しません。
少しずつ明かされていく謎、無理があるだろと主人公である零士に思わせるほどの展開。最序盤の内から、とにかく無理を強いてくるストーリーが面白いです。
第六話は思わず手に汗が滲んできますね。最近のSF映画的な印象を受けます。
HuVer-WKの設定や機能も、ロボット好きとしては素晴らしいの一言に尽きます。
白いロボット、それもその人しか動かせない──いいですよね。ロマンです。
その他設定資料も読むだけで面白いです。考え込まれているのが伝わってきます。
八話以降、視点が分岐し、謎が謎を呼ぶ展開を作り出しているのも良かったです。
アクション要素の強い零士視点、淡々と不穏な雰囲気の流れる藤堂視点にきっちり分かれている点も、物語に起伏を生み出しており、作者様のレベルの高さが窺えます。
ここでは伏せますが、十七・三十九・四十二・五十話の展開が私は特に好みでした。
登場人物に魅力がある。どんどん面白くなっていくドラマチックなストーリー展開。
描写の過不足を一切感じさせない点や、センスある台詞のかっこよさ・会話の自然さも含めて、総じてハイレベルなSF作品と言えます。

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