第7話 親交
二人同じ布団にくるまり、朝を迎えた。
外は気持ちのいいくらい晴れていた。
一晩寝たことで冷静さと落ち着きを取り戻した俺は、隣で気持ちよさそうに寝ているA子を優しく起こして「おはよう」と声をかけた。
その時の俺は、アルコールも抜けきったことでいつも通りの自分に戻れている感覚があった。
ただ、"行為"をしてしまったことは事実として理解し記憶していたのはたしかだった。
「んー、おはよう」
「まだ眠いの?」
「眠い~」
「どうする? まだ寝る?」
「ううん、起きる~」
そんな会話を交わして、A子はゆっくりと起き上がった。
「今日は予定あるの?」
俺は、起き上がっていまだ半目状態の彼女にそう尋ねる。
「今日はなにもないよ」
「じゃあ、昨日行きそびれたしカラオケでも行こうか」
「いいよ~」
「ちょっと歩くけど、いいよね」
「うん」
カラオケは一駅離れたところにあった。
向かう途中、仕事の話だったり友達の話だったりをした。
A子は、キャラクターグッズなどを手掛けている誰もが知る某会社で店舗の在庫管理や新商品開発などに関わる仕事に従事していた。
幼少期からそれらブランドやキャラクターが大好きで、その熱意を面接で話したら内定を貰えたらしい。
友達もたくさんいるようで、今もその友達らとシェアハウスして暮らしているようだった。
カラオケではA子は少し世代が昔の「おジャ魔女どれみ」やaikoなどを歌った。
「おジャ魔女どれみ」は純粋にアニメも好きなようで、俺もED曲など歌える曲があった為、A子に合わせて歌ったりもした。
俺が選曲した曲のメロディーが流れ出すと「懐かしい~!」とA子は声を漏らした。
カラオケは特別何かが起こることなく、互いに好きな曲を歌ったり共有したりして終わった。
それは、普通に友達とふらっとカラオケに行って遊ぶような感覚だった。
それは、A子も同じだったと思う。
それから近くのハンバーグ屋でご飯を食べ、2日に渡るA子との生活はそこで解散となった。
A子とはそれから毎週遊ぶほどの仲になった。
映画を観に行くこともあれば、てきとーに食事に行くだけの日もあったり、俺もA子も動物が好きだったので一緒に牧場に行くこともあった。
特に用事がない時は、金曜夜の仕事終わりにA子が俺の家に遊びに来た。
いわゆるお家デートってやつだった。
家では一緒にアニメを見たり、映画を見たり、ゲームをしたり、ピアノを弾いたり、時にはぬいぐるみで遊んだりして過ごした。
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