生と死を問いかける一作。

キリスト教では自殺は罪とされています。この世界ではキリスト教的な神が人間のまえに顕現したというところから始まります。さらにこの神の糧として死を選ぶことが強要されているというショッキングな内容でもあるようです。神はどうやら人間が自殺することを憂い、姿を現したというような謎めいた設定です。キリスト教的な世界が物語を覆っています。

 こうした構図は藤子・F・不二雄の「ミノタウロスの皿」でも見て取れますよね。ただ「ミノタウロスの皿」と一点だけ違うのは生きることへの思索の深さでしょう。