命の重さは違う。種族によっても、人によっても。

 誇りを持って受け入れるべきものとして、真の意味も知らないままに明朝の「出荷」を待つ主人公の「ぼく」。
 その前に突然現れた不死のエイリアンに「入れ替わり」を提案されたことによって、「ぼく」の運命は大きく変わります。
 無垢な「ぼく」と、人体を解体する闇医者。それぞれの視点で描かれるエイリアンは、ほがらかでひょうきんな一面と、冷酷で強かな一面を併せ持ち、不死身だからこその強気な発言にぞくりと恐怖を覚えました。
 臓器提供を待つ「わたし」の夢の中で、エイリアンと入れ替わった「ぼく」が語る言葉が胸に刺さります。エンターテインメントでありながら、現実の残酷さを思い知らされ、「いのち」の軽重を考えさせられる、とても奥深い短編でした。

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