王妃候補のデルフィーヌが毒殺未遂される衝撃的な幕開けの本作。
王と王弟、二人の妃候補、息子を傀儡にして権力を握る王太后……これは、立派なサスペンスです。よくある断罪やざまぁを想像していると少し驚くかもしれません。丁寧に綴られる勢力図、王侯貴族たちの所作や立ち振る舞い、本音と建前のぶつかり合い。どれを取り上げても『上質』の一言に尽きます。
血生臭い事件も起こる中、仲を深めていくデルフィーヌと王弟のエルネスト。純粋に想い合う二人の前に立ちはだかるのは妃候補の対抗馬であるミュゼット嬢や、彼女に肩入れする王太后、そしてまさかの方面から立ち上がった真のラスボス……!
聡明なデルフィーヌが振り回されるのが「恋愛」というのも、また良いです。自分に向けられる好意に(とりわけラブの方)に疎いのも可愛い。だからこそ愛のトライアングラーになってしまった彼女の心の揺れ幅が強調されるのだと思います。
煌びやかな西洋異世界に良質なサスペンス&ミステリーが融合した、有木さんだからこそ書ける作品です。デルフィーヌとエルネストが様々な障害を乗り越えて幸せになることを祈って、続きを待ちたいと思います!
王妃候補のデルフィーヌは茶会で毒を盛られてしまいます。
更に毒殺未遂が、もう一人の王妃候補であるミュゼット嬢を陥れるための自作自演だと噂を広められる!
デルフィーヌは元々王妃になりたい訳ではありませんでしたが、王権派に祭り上げられて、貴族派の対抗馬として王妃候補となっています。
無論、王であるファビアンへの感情も特別なものではありません。
そんな中で、デルフィーヌに手を差し伸べてくれるのが、王弟であるエルネストです。
エルネストは毒殺未遂の嫌疑を晴らそうと懸命に努力し、デルフィーヌもその中で彼に惹かれていきます。
しかし、あくまでもデルフィーヌは王妃候補。
二人が結ばれるのは茨の道。
何より、王・ファビアンの感情も推し量れないところがあり、デルフィーヌをどう想っているのかが物語が進むごとに明らかになっていきます。
それが、ラストの陰謀に大きく関わっていき……。
ミステリー仕立てで描かれるラブロマンス!
果たして、デルフィーヌとエルネストの運命は如何に!?
王妃候補という立場に選ばれた、主人公デルフィーヌ。
名誉ある立場に選ばれたかと思えば、毒殺されそうになる。
しかも、犯人は同じく王妃候補であるミュゼット嬢。
最初からあからさまな手口で…と思いきや、自作自演とまで言われる始末。
王妃候補もミュゼット嬢とは違い、そう乗り気でない。
黒鳥とすら揶揄されて、気落ちするも唯一の光とも言える助けが。
王弟である、エルネスト。
デルフィーヌに手を差し伸べる。
王妃候補と王弟の関係がもどかしいと感じる二人。デルフィーヌも王に心がないからか、二人の距離感がとても心地よいし、心強い味方です。
黒鳥と揶揄されようとも、デルフィーヌも気丈に振る舞う姿が美しく、その手を取るエルネストもまた凛々しい。
陰謀が少しづつ明かされる中で、二人の関係も縮まり心も揺れ動いていく様がまた良い!
オススメです。
ミステリーを得意とする作者様。その手腕が存分に生かされた作品です。序盤は非常にわかりやすい導入でした。設定や世界観も、非常に分かりやすかったです。
がっしかし!
有木さん節は、序盤で摂取出来ません。
中盤に入り、陰謀や嫉妬うごめく世界に果敢に立ち上がるデルフィーヌ
対する、ミュゼット嬢も負けては居ません。
あらゆる手を使って、デルフィーヌを排除しようとします。
本来ならば、ヒーローでは?なキャラクター、ファビアン様がいるのです。
彼の参戦により事態は一気に急変。
規模も一気に大きくなります。
ラストは圧巻でした。
ラスボスが……すごかった……です。
デルフィーヌも負けていませんよ!
ずっと毅然と戦う彼女を見てきただけに、最後の恥ずかしがり屋なデルフィーヌを見れて良かったです。
主人公であり王の婚約者候補であるデルフィーヌが、毒を盛られるという衝撃シーンから始まるこの物語。
最初から敵は見えているが、王宮という大きな籠の中は柵だらけ。
更にはこの毒も、『自作自演なのでは』という疑いまでも掛けられるという、踏んだり蹴ったりな状態だ。
それでも、この状況を打破するべく、彼女は事件の解決に向けて動き出す。
そんな背水の陣のような状況で、彼女の強い味方はエルネスト。
王の弟、王弟殿下である。
この二人のやり取りを読むと、読者として「いやもう、この二人早く結婚して幸せになってくれ」と願ってしまう程甘々である。
しかし、そうはいかないのがこの柵。
毒殺の主犯格だろうもう一人の婚約者候補。
王太后の傀儡である王。
確実に元凶である王太后。
どれも一筋縄ではいかない人たちに、どう二人は立ち向かっていくのか。
サスペンスとミステリーとラブロマンス。
とても面白い作品です。
是非、読んでいただきたい作品です。
主人公の公爵令嬢デルフィーヌは、『王妃』候補。
ところがもう一人の候補ミュゼット侯爵令嬢に毒殺されかかる、というサスペンスな始まりが目新しい。
さすがミステリー要素がお得意な作者様、安定したストーリー展開で令嬢もの×サスペンスを成立させている。
シナリオだけでなく、デルフィーヌから見た国王陛下の気持ち悪さ(失礼!)が秀逸。王位を継いでも母の傀儡、という情けない噂が飛び交う国王には、優秀な弟エルネストが存在する。
ところでこのエルネスト、スパダリである。
デルフィーヌの危機を救い、体調を案じて部屋まで運ぶ、嫉妬はするし独占欲もある……全女性の理想を詰め込んだのか? と思うぐらいである。
ところがそんなスパダリをもってしても、相手は国王であり、やはり王宮での権力争いも背負っての王妃選定、スルスルとはいかないのだ。
そんな中、隣国の王族も味方につけて、さてデルフィーヌはどうなっていくのか。
恋と権力が複雑に絡みあう令嬢サスペンス。お薦めです!
まず……ヒロインがお茶会で毒を盛られるという衝撃的な始まりに、ぐっと心を掴まれました。
しかも『自作自演』の疑いをかけられてしまうヒロイン、デルフィーヌ。
王妃候補のライバルに付けられた、『黒鳥』と言う呼び名。
バレエの『白鳥の湖』を思い出し、なるほど『黒鳥=悪役』だったなと納得しました。
でも、ただ黙って耐え忍ぶ黒鳥ではありません。
何とか身の潔白を証明しようと、色々画策する中で、ほのかな恋心も生まれて。
ほっこりしていると、またとんでもない事態に……ハラハラドキドキ。
作者様お得意のミステリーとサスペンス、今回は特に心理戦にご注目ください。
そして、そこから生まれる素敵なロマンスも、ぜひお楽しみください♪